コロナ禍でも羽ばたき始めた、将来の架け橋となる子供たち
子供たちが羽ばたき始めた。声に艶が出て感情が跳ねるようになってきた。
日本人会の青少年演劇サークルの話だ。体の存在を感じたり、表情や眼差しの表裏を読んだり、重さや軽さを投げ合ったりという対面稽古が出来なくなって久しい。
オンラインで声だけの台本稽古が続いている。ところが子供たちは、いつの間にか声と言葉に登場人物の人生を写し採るようになってきた。台本を書いた私が思いもよらなかった味を台詞のなかに表現し始めたのだ。きっと子供たちは気付いたのだろう。良いことばかりではなかったあの日常が、それでも幸せであったことに。
演劇サークルの子供には、日・タイ、日・欧、日・中の夫婦間に生まれた子たちもいる。インターに通っている子供たちだ。将来の架け橋になるかもしれない子供たちが、いま両手を広げて翔ぼうとしている。マスクで顔を消してしまった私たちは見守るしかない。
(矢野かずき)
(演劇サークルの講師でもある矢野さんが毎月掲載しているDACO『街が呼んでいる』の8月号より)
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